浄水器

キッチンリフォームの時に浄水器を設置すべきかどうか、あるいは設置するならどのタイプがいいのかと悩まれる方が多くおられます。

これもキッチンプランを作成するときによくある問題です。

今回はシステムキッチンのオプションとなっている浄水器についてスポットを当ててみたいと思います。

日本の上水道

日本国内で供給されている上水道は、各自治体が川などから取水した水を飲料として利用できるようにまずゴミを取り除き、次に人体に有害な細菌や微生物等を低減・除去したうえで、専用通路である上水配管を通して各家庭に供給されています。

その有害な細菌や微生物を低減・除去するうえで必要な工程となるのが次亜塩素酸類の薬品を用いる「塩素殺菌」というやつですね。
学校のプールなどに入れてあるやつもその塩素の一種です。

ちなみに昭和時代のプールはかなり塩素濃度が高く、スイミングスクールに通っていたら腕や脚の毛の色が抜けてキンキラキンになってしまったもんです。

このように細菌等の除去に加え、供給されている道中も水が腐敗しないように用いられる必要な塩素なのですが、あまり多く配合すると「トリハロメタン」と呼ばれる発がん性物質ができてしまうんです。

ですが日本のトリハロメタン含有量も含めた水質基準は、WHOの定めたガイドラインよりもはるかに厳しく設定されているため、水道の蛇口からそのまま水を飲んでも安全であることはよく知られていますよね。

今のところ世界中で蛇口から水道水が飲めるのは、日本を含めた16か国ほどしかないそうですよ。

ちなみに現在大阪では大阪市水道局と大阪府広域水道企業団ともに、オゾンや活性炭による浄化処理でよりおいしい「高度浄水処理水」が全域通水されています。

確かに以前の水道水とは比べものにならないほど味も臭いもなくなり全然変わりました。

そもそも浄水器とは?

このように日本の水道水は世界的に見てもかなり優秀だと言われています。

ただ浄水場はしっかりと衛生管理されていても、供給途中の配管やまだ貯水タンク等が設置されているようなマンションの設備に関しては、しっかりとした衛生管理がなされているのか疑問に思うところもあるかもしれません。

近所で埋設配管の工事等があれば水が濁ることがありますし、水道配管本体の鉛成分が水道に含まれてしまうなんて話もあります。

実際に自治体によっては今でも「何かのにおいがする」「何かの味がする」というところもあるようなので、そういった不安から浄水器の有無について悩む方が多いんです。

とはいえ「におい」や「味」の原因となる塩素が全く含有されていない状態だと、供給途中で水が腐敗してしまう可能性もあります。

ちゃんと衛生処理された水道水を家まで供給してもらい、口に入れる直前ですべての不純物や不要な成分を取り除いておいしい水に変える。
浄水器はそんな役割を果たしていると考えてもらう方が良いですかね。

そもそも浄水器とはいうなれば「濃し器」です。

多くの浄水器はカートリッジ内部が「活性炭」+「ろ過膜」というような構造になっており、大きなゴミから小さな残留塩素や有機物等を吸着除去するという流れになっています。

まるで小さな「高度浄水処理の浄水場」という状態ですね。

システムキッチンの浄水器の種類

現在世の中には様々な浄水器が販売されていますが、ここではシステムキッチンで選べるオプションに関するものをピックアップしてみたいと思います。

●ビルトイン型(アンダーシンク型)
ビルトイン型(アンダーシンク型)浄水器とは、シンク下のキャビネット内部にカートリッジを設置し、浄水器専用水栓から濾過された水を供給するものです。
最近では水道水と浄水を切り替えて一つの水栓で使えるタイプもあります。

大きなカートリッジを設置できるため一度に濾過できる水量が多いことと、大きいカートリッジをキャビネット内部へ隠ぺいすることでキッチン廻りがスッキリ見えることが特徴です。

カートリッジ交換も大体一年に一回程度で済むので手間もあまりかかりません。

●水栓一体型(浄水器一体型)
水栓一体型浄水器(浄水器一体型水栓)とは、水栓内部にカートリッジを設置し水道水と同じ蛇口から浄水を供給する浄水器です。
浄水のみを供給する一体型浄水器もあります。

カートリッジ自体も水栓内部に設置されるためキャビネット内部にカートリッジの設置スペースが必要なく、キッチン廻りがスッキリすることが特徴です。

キャビネットに潜り込んだりすることなくカートリッジの交換ができますが、濾過能力があまり高くないこととカートリッジの交換頻度が高い(数か月に一度)ことには注意が必要です。

●還元水素水生成器(アルカリイオン整水器)
最近様々なメーカーでのオプションとして増えてきたのが還元水素水生成器(アルカリイオン整水器)です。

水道水をただ浄水するだけでなく、アルカリ性から酸性までpH(水素イオン)を調整して様々な用途に合わせた水を生成する機器です。

還元水素水生成器と呼ばれる商品は医療機器として認証を受けており、胃腸症状の改善に効果があるといわれています。

また料理の際に使う水はそれぞれ用途によって適したpH値があり、それをボタン一つで手軽に調整しながら利用できるということで徐々に普及しているようです。

基本的にはビルトイン型の部類に入る商品構成ですが、もうワンランク上の機能が付与された機器となります。

なお水を電気分解するためキャビネット内部にコンセント等の電源が必要になります。

 

他にメーカー関係なくキッチンに設置する「据え置き型」の浄水器やアルカリイオン整水器、蛇口直付型浄水器などもありますが、それらは別途設置水栓への適合確認と手配の上設置することになります。

まとめ

世界的にみれば日本の上水道は優秀で、蛇口からの水を安心して飲める数少ない国の一つなので、カートリッジ交換の手間や費用をかけてまで浄水器を設置する必要があるのか?と悩まれる方が多いことは事実です。

基本的には好みの問題だったり小さな子供がいる場合など、必要性の有無に依るところが大きいとは思います。

ただ浄水器の水がおいしいのは事実ですし、必要なければ使わないという選択もできます。
「ポット型の浄水器でもいい」という方もおられますが、これはこれで置き場所問題もあったりこれもカートリッジ交換が必要だったりしますよね。

ですので「予算的に組み込むのがむつかしい」という場合や「絶対浄水器なんて必要ない」、「ワシは浄水器が嫌いじゃ」という場合でないなら、浄水器が設置されていてもよいのではないかな?と個人的には思ったりする次第です。

ただ浄水器を使う上で一つだけ守っていただきたいことがあります。
それは「カートリッジの交換」です。

浄水器を使う際は既定の利用水量、少なくとも既定の利用期間を超えてカートリッジを使用しないでください。
必ずカートリッジの交換は行ってください。

そうしないと水道水から不純物を濾した状態のままで使い続けることになり、かえって不衛生な状態になります。

よくない言い方かもしれませんが「長期間パンツを履き替えない」のと同じようなものだと考えると、その危険性を少しはお分かりいただけるのかもしれません。

言葉が悪くてスミマセン…