キッチン窓かぶり

窓が付いたキッチンをご覧になられたことがある、あるいは自宅がそうだという方も多いと思います。

メリットもたくさんあるのですがキッチンリフォームの時に課題になることがあるって知ってましたか?

今回はそんな「キッチンの窓」について考えてみたいと思います。

キッチンの窓はなぜあるの?

昭和の戸建住宅ではI型のキッチンカウンターと吊戸の間に窓が設けられることが多くありました。

昔のキッチンはプロペラ扇が主流だったため換気の補助と、採光の目的で窓が設置されたお宅が多かったようです。

実際にキッチンの前に窓があると明るくて気持ちがいいんですよね。

で、お魚を焼く時などは窓を少しだけ開けて換気扇を回すと、嫌な煙や臭いを効率的に排出できるのと同時に冷暖房された室内の空気を逃がしにくくなります。

室外から流入した空気をすぐに排気するといういわゆる空調用語でいう「ショートサーキット」の状態を意図的に発生させるわけですね。

ショートサーキット図

ただし換気扇フードやコンロに近い側の窓は開けないほうがいいでしょう。
流入する風でコンロの火が消えたり、せっかく排出した空気がまた窓から入ってきますよ。

レンジフードやコンロから遠い方の窓を開けるのが正解です。

キッチン窓

このようにせっかくキッチンに窓があるのに意外と使い方を知らない方も多いです。

最近の新しいお家でもキッチンに窓が付いていることはありますが、平成15年以降に建築された住宅ではシックハウス対策を主とした改正建築基準法により宅内の換気設備が義務付けられ、住宅全体に一定以上の空調計画がされているので、昭和時代のようにいちいち窓を開ける必要はないと思っておいてよいと思います。

建築基準法が改正されたのちは、キッチンやダイニングの入口ドア下の隙間から空気の取り入れがされるようになっているのが一般的で、レンジフードを「強」のまましばらく使うとキッチンやダイニングの空気を全てキレイに入れ替えてくれるようになっているはずです。

シックハウス症候群の原因となる化学物質だけでなく花粉・細菌・ウィルスなどの排出、また酸素の取り入れにも最も効率的な空調計画なんですね。

あまりやりすぎると冷暖房的には台無しなんですけどね…

そのため最近のお家にキッチン窓が設置してあるのは、どちらかというとデザインだとか採光が主目的になっているものがほとんどだと思われます。

リフォームの時に障害となる窓

昔のキッチンカウンター天板(ワークトップ)の高さといえば80cmが標準サイズだったのですが、日本人の変化する体格に合わせて近年では高さ85cmが標準となっています。

また吊戸棚(ウォールキャビネット)も高さ50cmサイズが多かったのですが、高い位置の吊戸棚が使いにくいということもあり、近年では70cmが標準とされているものが多いです。

窓の設置位置や大きさにもよりますが時代の流れの中でこういった変化があったため、既存のキッチンから新しいキッチンへ交換する際に窓の下枠がキッチンのバッグガードより低くなってしまったり、窓の枠や本体に吊戸棚がかぶさってきてしまったりということがリフォームの時に発生する場合があります。

キャビネットかぶり

その場合はできればキッチンや吊戸と干渉する窓も同時にリフォームするのがベストなので、特に下枠がキッチンに干渉する場合はそちらをおススメしますが、窓をリフォームするということは窓本体の交換から窓廻りの外壁の改修も必要になってしまいます。

ただ吊戸棚が窓の上部に被ってくるパターンの場合は、窓にかぶせて設置できるキャビネットが各メーカーの一部シリーズで用意されているものもあります。

吊戸棚の扉や裏板を透過素材にするなどして、既存の窓の採光を妨げないような工夫がされています。

TOTO窓用吊戸棚

まあ窓を拭く際に吊戸棚自体が邪魔になったり中に置くものによっては採光の邪魔になったりはしますので、あくまでもベターな対応…ということになるのではないかと思いますが。

まとめ

現在のシステムキッチンはほどんどのレンジフードがシロッコファンで安定した換気能力が確保でき、また手元の明かりは棚下灯や手元灯で補うのが一般的です。

なのでもし上記のような窓の問題が発生することが見込まれる場合、本来ベストな方法としては窓の位置を変更または縮小するよう改修してしまうか、思い切って窓そのものをなくしてしまうというのもアリかもしれません。

とはいえリフォームで窓を改修する場合は室内側だけでなく屋外側も改修が必要になるため、予算的に二の足を踏んでしまうケースがあったりすることも事実です。

窓のついたキッチンをリフォームする際はそういったことがあり得るということも事前に心づもりをしておいた方がよさそうです。