
あなたは「瞬間湯沸器」という機器を見たことはありますか?
先日30代位の方に聞いた際は「少し前におばあちゃんの家で見たことがある」ということでした…
おそらく40代以上の方は幼いころに実際に使っていた人もいるかと思います。
あるいは今でも会社の給湯室等で使っている方もおられるかもしれませんね。
(ご家庭で現役!という方がおられたらスミマセン)
知っている人は知っている、シンクの前の壁や窓のところについていて白い四角い箱からホースっぽいものが出ているヤツ。
スイッチを押すと「カチカチ…ボッ」というアレです。
湯沸かしの歴史
近年では一般住宅でお湯を供給する機器といえば、家の外壁などに設置してある「給湯器」の比率がかなり高くなってきています。
その給湯器で沸かしたお湯がキッチン、お風呂、洗面所へ、給湯配管を通って水栓から供給されます。
ところが1970年代中盤頃まではガス給湯器という機器自体がそもそもありませんでした。
ガス風呂釜でお湯を沸かしお風呂に入ることができるようになったのが1950年代頃からということなので、家の中でお風呂以外にお湯が出るところがなかったわけですね。
1960年代からようやく台所にもお湯をということで「ガス瞬間湯沸器」が登場するわけです。
その当時の給湯事情といえば「お風呂を沸かすのは風呂釜」、「台所のお湯は瞬間湯沸器」と局所ごとに分担されていました。
今現在の「ガス給湯器」等の一台で家全体にお湯を供給する、いわゆる「セントラル方式」となったのは1970年代後半から1980年代前半にかけてのことです。
今の給湯器はモノによってはスマホによる遠隔操作でお湯張りができたり、電力を利用してお湯を沸かしたりと進化してきていますので、年代を追っかけてみるとドラマチックな変化に驚かされますよね。
昭和の懐かしい思い出
1970年代当時の台所はいわゆる単体(セクショナル)キッチンと呼ばれるキッチンが主流で、ガスコンロとホースでつなぐためのガスコックがすぐそばにあったため、ガス瞬間湯沸器の新規設置が比較的簡単で多くの家庭で急速に普及していきました。
そして結果として「水を出すのは壁付の水栓から」、「お湯を出すのは瞬間湯沸器のホース(出湯管)から」と、なんともややこしい状態になっている家庭が多かったにも関わらず、皆普通に使っていました。
だって台所でお湯が出るだけで、ただただありがたかったんですねぇ。
小型とはいえガスを燃焼させてお湯を沸かす仕組みなので、一酸化炭素中毒防止のため「ちゃんと換気扇を回しなさい!」とよく怒られたもんです。
冬だと換気扇を回すとめちゃくちゃ寒いんですよねぇ。
お湯で手は暖かいのに台所自体が超絶寒いという地獄…
そういえば、台所の壁につけるガス警報器の「ぴこぴこ」なんかが流行りだしたのも、確かこのころだったように思います。
瞬間湯沸器から給湯器へのリフォーム
ちなみに局所方式の瞬間湯沸器からセントラル方式の近年主流の給湯器へのリフォームについてですが、各所機器まで敷設されている配管の種類が違いますので、ガス管や給湯管などの配管敷設からの更新が必要になるケースがほとんどです。
また給湯器はセントラル方式で家全体の給湯を担いますので、キッチンだけでなくお風呂や洗面台に関しても機器変更や追加配管が必要になる場合があります。
配管自体は床や壁に隠ぺいされていることがほとんどのため、給湯設備のみの変更となると壁を開けたり床を開けたりなどと、思ったより費用が掛かってしまうことが多くあります。
ですのでキッチン交換や浴室改修等をされる際に、同時に給湯設備の更新も行うとトータルで考えた際のコスト削減になるかと思います。
まとめると瞬間湯沸器から給湯器への変更は「家全体の給湯方式の変革」という経緯があるため、ガス配管・給湯配管の経路変更と追加配管を含めた、トータルでの変更が必要になってくるという点は注意が必要かもしれませんね。
最近はこの種のリフォームをすることも少なくなってきましたが、念のため。