
ガスコンロやIHクッキングヒーターの下に設置されることがある「ビルトインオーブンレンジ」ってかっこいいですよね。
お客様とショールームに行った時もビルトインオーブンレンジの前で数秒は立ち止まる方がホントに多いです。
では必ず目に留まるビルトインオーブンレンジっていったいどんなものなんでしょうか?
今回はこのテーマで進めてみたいと思っています。
ビルトインオーブンレンジの呼称、結構ややこしい問題
キッチンプランを組んでいく時の選択オプションの一つとして「ビルトインオーブンレンジ」と呼ばれる調理機器がありますが、これは文字通り本体キャビネットに”ビルトイン”されているオーブン等の機能を備えた調理器具のことです。
このオプションを選ぶと、ほぼ全てのキッチンメーカーでオーブンレンジがコンロの下にビルトインされます。
この姿、佇まいがめちゃくちゃかっこいいんですね。
見た目だけで「アイツ出来る!」と思わせる風格が漂っています。
そして基本的にOEMで供給されているケースが多い商品のため、どのキッチンメーカーのビルトインオーブンレンジも見た目は似ているんです。
しかし実はキッチンメーカーによって少しづつ機能に違いがある場合があり、これがすこぶるややこしいんです。
加えて各キッチンメーカーごとに違う呼び名、ネーミングのややこしさ。
どうにかなりませんかね。ホント。
ということで主なキッチンメーカーのビルトインオーブンレンジのあえてメーカーごとの「呼び名」をピックアップし、本当にざっくりと特徴を書き出してみます。
●コンビネーションレンジ
電子レンジ、ガスオーブンの2つの役割に加えガス+電子レンジの同時加熱ができるオーブン
●コンベクションオーブン
庫内ファンで熱風を対流させてムラなく調理する機能を持つオーブン
●電気オーブンレンジ
電子レンジ、電気オーブンの2つの役割に加えオーブン+レンジの同時加熱ができるオーブン
●電子コンベック
電子レンジ、ガスオーブンの2つの役割に加えガス+電子レンジの同時加熱ができるオーブン
●電子コンベクションレンジ
電子レンジ、ガスオーブンの2つの役割に加えガス+電子レンジの同時加熱ができるオーブン
●ガスコンベクションレンジ
庫内ファンで熱風を対流させてムラなく調理する機能を持つオーブン
上記をサッと見ていただいてお気づきだと思いますが、「電子レンジ機能」がないビルトインオーブンレンジがいくつかありますよね。
ここがオプションでビルトインオーブンレンジを選ぶときの「最大の注意点」となります。
どのビルトインオーブンレンジでも熱源の差や調理機能の多少の差こそあれ、オーブン調理はどれも可能なんです。
ただしビルトインオーブンレンジに「電子レンジ機能」が欲しい場合は決して選び損ねてはいけません。
商品名に〇〇レンジと書いてあっても実際に電子レンジ機能が搭載されているかの確認は必要です。
さもないと別に電子レンジを用意する必要が出てきますよ。
あともう一つお気づきのことはありませんか?
「呼び方がちゃうだけやん!」
まあ一応言い訳しておくと、各キッチンメーカーごとに少しずつ「ウリ」の機能が違ったり少しずつ加熱の原理や方法が違ったりするので、あえて呼称を変えていると思うんです…たぶん。
でもお客様からすればどれを選べばよいかわかりづらく、キッチンメーカーによって呼称を変えるのはかえって不親切なのでは?と個人的には思ったりします。
ビルトインオーブンレンジを選ぶメリット
しょっぱなからディスられるビルトインオーブンレンジですが、設置するメリットは多くあります。
●調理家電の省スペース化
キッチンキャビネット内にビルトインされるため、キッチン廻りの調理家電用のスペースが一つ空きます。
●多めの調理に対応可能
ビルトインオーブンレンジは家電量販店に売っているオーブンなどより庫内容量が大きい場合が多く、一度で多くの調理が可能になります。
●家庭用以上業務用未満の調理性能
ガスや200V電源を熱源にしているビルトインオーブンレンジが多く、さすがに業務用とまではいきませんが、市販のオーブン等と比べて大きな熱量で調理が可能です。
このように、特にご家族の人数が多いご家庭や料理好きの方がいるご家庭などでは、ビルトインオーブンレンジが大活躍するハズです。
ビルトインオーブンレンジを選ぶデメリット
逆にビルトインオーブンレンジを設置するとおきるデメリットもそれなりにあります。
●本体キャビネットの収納スペースの減少
コンロキャビネットの収納部分がまるまるビルトインオーブンレンジのスペースとなり、キャビネットの収納部分が減少します。
●オーブンとレンジの同時利用不可
一台でほぼ全ての機能を兼ね備えているため、オーブンで調理しながら他の食材の解凍や焼き上げをするなどの平行調理ができません。
●故障や製品寿命の際の交換
ビルトインオーブンレンジが故障した場合、交換時に電気配線やガス配管の再接続が必要なため専門業者による作業が必要で、市販のオーブン等を買い替えるよりも作業費がかかる分高額になります。
●キッチンの熱さ
最近のビルトインオーブンは昔のものと比べて排熱等も工夫はされているものの、やはり調理時の熱量が大きいため調理中のキッチンは熱くなります。
●本体価格
庫内サイズや熱量の違いによるところもありますが、市販のオーブン等よりも本体価格自体も高額になりがちです。
ビルトインオーブンレンジを選ぶ決めて
ビルトインオーブンレンジを設置するかどうかは皆さんが迷うところではありますが、決め手はズバリ「使うかどうか」という1点に尽きます。
様々なバラエティに富んだお店のような料理を自分で作りたい、スイーツを月に1回は作ってみんなに配りたいなどのように、それなりの頻度で使用されるならビルトインオーブンレンジを選ぶには十分な理由になります。
ご自宅でお知り合いと集まってお料理会をしたり、定期的にスイーツなどを焼いてネットで発信したり、3世代家族で毎日多くの料理をされるお宅などでは、ビルトインオーブンレンジをガンガン使われておられたりします。
逆に普段から家であまり料理をしなかったり、気づいたらいつもオーブンレンジの「温め」ばかり使っているというご家庭だと、ビルトインオーブンレンジは選ばず本体キャビネットの収納を優先させた方が良いかもしれません。
この場合オーブン機能は市販のオーブンレンジで十分という場合が多いです。
また「子供にいろんな料理を食べさせたい」とビルトインオーブンレンジを選ばれた方でも、お子さんが大きくなるにつれて使わなくなるケースも多かったり、ビルトインオーブンレンジが故障したタイミングで別に市販のオーブンレンジ等を買って利用し、ビルトインオーブンレンジがお盆やたこ焼き器の収納スペースになってしまったというお宅も拝見したことがあります。
ビルトインオーブンレンジは比較的高価なオプションになりますので、今だけではなく将来に至るまで「使うかどうか」という点で冷静に判断してもらう方が良いかと思います。
まとめ
システムキッチンにビルトインオーブンレンジが設置されていると、とてもかっこいいんです。
私どもも気持ちとしてはできればおススメしたいオプションではあります。
しかし「当時はもっと高かっただろうにこんなことになってしまって…」というありさまを様々なリフォーム現場で拝見してきた立場としては、ただかっこいいからおススメしたいではダメなんだと心を鬼にして事実をお伝えする必要があると感じるオプションでもあります。
近年では夫婦共働きが当たり前となり、忙しさにあわせてより効率よくより便利にと食材や冷凍技術、調理器具や調理法、調理家電などが劇的に変化・進化してきています。
夕食に家族全員が揃ってローストチキンやグラタンの入ったオーブンが「チン」と鳴るのを待ちわびるような、ワクワクする楽しい食卓はもう昔ほど頻繁に実現できない時代なのかもしれません。
何ならスマホ画面をクリックするだけで近くのお店のおいしい料理を届けてくれるような時代ですから…。
そういったことも踏まえて、一度冷静にご家庭の生活スタイルを振り返ってご検討いただければなぁ… と思う次第です。