ガスコンロの種類

キッチン選びの際に必ず必要となるのがコンロ選びですが、あなたは今までにシステムキッチンのカタログをご覧になったことはありますでしょうか?

実はキッチンプランを組む時に選択できるガスコンロって結構な数があるんです。
「こんなに数があるけど何が違うの?」といつも聞かれてしまいます。

これで「IHクッキングヒーターも選択肢に…」となるとさらにまあまあな数の中からコンロを選ぶことになります。

なのでまず今回はたくさんある「ガスコンロ」にどういった機能があってどう選ぶのかを見ていきたいと思います。

ちなみに今回は「住設メーカーが販売するシステムキッチンのプランで選べるビルトインコンロ」という前提でお話を進めたいと思っていますのでご了承ください。

ガスコンロの違いをチェック

キッチンプランを作る時にたくさんあるビルトインガスコンロですが、やみくもに数があるわけではありません。
一応機能別にラインアップがされており、必要な機能を選ぶことができるようになっているんです。

で、ガスコンロの高機能化に伴って徐々に数が増えてしまったというのがこれまでの流れなんですね。

チェックすべき項目は下記のようになります。

「色」「口数」「コンロ天板の材質」「高火力火口の左右勝手」「グリル内の水の有無」「グリルの片面焼or両面焼」「グリルの(自動)調理機能・タイマー機能」「グリル脱臭・脱煙機能」「コンロの温度自動調節・タイマー機能」「レンジフード換気連動機能」etc…

メーカーやシリーズによって設置できるコンロの機能が少しずつ違ったりしますが、これだけの機能の数を見てどうお感じになられますか?
「私に最適なガスコンロ!」を選び出す自信はありますでしょうか?

では一つづつ見ていきましょう。

色・口数

これはガスコンロ本体の色と考えてください。
全体として見ると天板の色と前面パネルの色が選べるシステムキッチンがほとんどです。

ただ「この機能を選ぶと色が選べない」というケースも多くありますので、その辺はデザイン性や機能性、コストとのトレードオフで検討しましょう。

最近では欲しい機能を選んでいったら勝手に色が決まったというケースが多いですかね。
高機能品になるほど自然に天板と前面パネルがシルバーに…という傾向が多いようです。

口数に関してはほとんどのビルトインガスコンロは3口が基本になります。
他には海外製っぽい4口や、とりあえずコンロ付いてます風の2口なんかもあります。

口数が多くても不要なら使わなければよいだけですし、逆に多すぎると大きな調理器具を同時に置けないケースなどが出てくる場合があったりします。
なので、基本的には3口をベースにご検討いただくと無難なのかなと思います。

コンロ天板の材質

コンロの天板の材質により「ガラストップ」「ホーロートップ」「ステンレストップ」などという種類があります。
一般的には「ガラストップ」か「ホーロートップ」から選ぶことが多いかもしれません。

材質により清掃性が変わるといわれつつ両方を利用した経験がありますが、個人的には正直ガラストップでもホーロートップでも清掃性に大きな違いは感じませんでした。
汚れがこびりつくまで長期間掃除しない状態で放っておくとどうなるのかはわかりませんが。

デザイン的にはガラストップの方がかっこいいのと近年ではこちらが主流になりつつありますので、予算が許せばガラストップで良いように思います。

なおほとんどのガスコンロ本体の幅は60cmが基本になっていますが、グレードの高いガスコンロは本体の幅がそのままで天板のみが75㎝幅という設定のものがあります。

天板幅が大きい方がお好みなら、そちらを選ぶ方が色々はかどると思います。

高火力火口の左右勝手

ガスコンロには通常火力の火口と高火力の火口があり、右側か左側かどちら側を高火力にするか選択する必要があります。
…というのはもう過去の話になってしまいました。

現在はほとんどのメーカー、シリーズで「ダブル高火力」というようなネーミングで左右の火力差をなくしたコンロがラインアップされています。

昔のキッチンはコンロが壁際にあり、壁に近い側のコンロを高火力にしてしまうと火の大きさで壁が燃えたり(厳密にいうと壁内部の木材が発火や炭化)していたんですね。

ところが最近のシステムキッチンでは大きな鍋やフライパンが普通に五徳に置けるよう、壁から少し離した位置にあらかじめガスコンロがビルトインされています。

ほとんどのシステムキッチンってコンロの横(壁側)にスパイス入れの引き出しが付いてますよね。
あれがガスコンロが壁から離れた証?なんです。

ですのでプランで選ぶときは「そんなことあったっけな」位の確認で大丈夫だと思います。

もし左右で違う火力のガスコンロを選択する必要がある場合は、壁から遠い方を高火力として選択しましょう。

グリル内の水の有無

昭和風に言うといわゆる「魚焼きグリル」ですが、ガスコンロによって受け皿に水を入れる必要があるもの(水あり)と、水を入れる必要がないもの(水なし)があります。

違いは?というと、魚を焼く際に滴り落ちる油が加熱されて火や煙が発生してしまうため水を入れる必要があったのですが、水なしグリルは受け皿部分の熱を逃がすような構造になっており、火や煙が発生する心配がなくなったため水が不要になったという経緯があります。

最近では水なしグリルが主流となってきていますのでその流れに乗って水なしグリルを選んで問題がないと思いますが、受け皿の掃除はどちらのグリルでも必要になります。

水なしグリルに使う焼物用オプション(ココットプレート等)を利用すれば、魚の皮がこびりついた網をゴシゴシ掃除しなくても済みますし、庫内も比較的きれいに保てます。

グリルの片面焼or両面焼

これは文字通り、グリル内部の火口が上側だけについているか、あるいは上下に火口が付いているかの差となります。

魚などをひっくり返す手間が省けますので、予算が許せば両面焼きにしておく方が無難です。

最近では両面焼きを採用しているガスコンロの割合が多くなっていますけどね。

グリルの(自動)調理機能・タイマー機能

最近のガスコンロに搭載されているグリルは今や魚を焼くだけのものではなくなっています。

「マルチグリル」と呼ばれるグリルはグリルプレートやグリルパン、ダッチオーブンなどと呼ばれる器を使って「焼物」「煮物」「蒸物」「無水調理」「パンやピザ」「グラタン」など、色々な調理に使えてしまう万能調理機器なんです。

とはいえじっとそばにいて火加減を調整するわけにはいきませんので、ガスコンロの調理機能に任せることができるという優れものです。
「オートグリル」という機能を使えばメニューと焼き加減の設定だけでおいしく調理ができるんです。

「魚なんてフライパンで焼くからグリルいらないよ」と思っていたあなた。
めちゃくちゃ損してます。

この辺りの機能が付くとガスコンロのお値段はぐんと高くなりますが、電気調理鍋などの時短調理家電と同じような効果がありますし、小さいながらオーブン代わりにもなってくれます。

そういった面を総合的に検討してもらえたら選択する値打ちのある機能だと思います。

なお「マルチグリル」「オートグリル」といった機能の有無はガスコンロの見た目だけではなかなか判断できないので、必ずカタログ等で機能の有無を確認するようにしてください。

ちなみに自動調理機能はないけどタイマー機能ならあるというグリルもあります。
主にグリルを魚焼きだけに利用するけど消し忘れ機能が欲しいという方には重宝すると思います。

グリル脱臭・脱煙機能

高価格帯のガスコンロに登場したグリルの脱臭・脱煙機能です。
調理時にグリルから発生したにおいや煙をコンロ内部の専用バーナーで焼き切ってしまうという機能です。

対面キッチンやアイランドキッチンなどでは部屋の空気対流の影響で、グリルから出るにおいや煙がダイニングやリビングに拡散してしまう可能性もあります。

対面キッチンやアイランドキッチンの普及が著しい現状では、できればついていてほしい機能ではないでしょうか。

今のところこの機能が搭載されたガスコンロは高価で選択できるメーカーもあまり多くありませんが、今後キッチンレイアウトの発展に伴って普及していく機能になるような気がします。

ガスコンロの温度自動調節・タイマー機能

現在販売されている全てのガスコンロには「SIセンサー」と呼ばれる安全センサーが付いており、過加熱や立ち消え防止、消し忘れ防止の機能があります。

その発展型としてガスコンロが自動で温度調節してくれるという機能になります。
タイマー機能は設定時間に消火ができ、消し忘れを防ぎます。

ガス火は目視できるためそういった機能がないならないで直接火加減をできますが、設定温度で自動調整してくれるなら「揚物」「湯沸かし」「炊飯」なども便利に使えそうです。

昔は迷惑電話や訪問販売を断る時に「今揚げ物してるから…」という最強のパワーワードがありましたが、世の中全てのガスコンロにこの機能が搭載されたらそういった断り方がいよいよできなくなっちゃうかもしれませんね。

レンジフード換気連動機能

ガスコンロの点火に連動して自動でレンジフードの運転が開始される機能です。
コンロの消火も感知してレンジフードが一定時間経過後に停止するため、レンジフードの消し忘れもなくなります。

ガス火を使う際の換気動作を自動で行ってくれるという機能ですね。

最近のレンジフードは24時間換気機能が搭載されているものが多いので、どうしても必要かといわれれば難しいところではありますが、うっかり付け忘れや消し忘れが多い方には便利かもしれません。

こちらはレンジフード自体も換気連動機能に対応していることが必要です。

まとめ

ガスコンロは2008年に全口Siセンサー搭載が義務化されたことが近年の歴史の中でも大きなトピックでしたが、その後も地道に進化を続け様々な機能が搭載され続けてきています。

そしてこれからもさらに便利で安全な機能が搭載し続けられるものと思われます。

現時点での個人的な想像としては、現在最高級品群にのみ搭載されている「コンロやグリルの自動調理機能」や「グリルの脱臭・脱煙機能」が普及価格帯商品にまで幅広く搭載されてくるようになると、ガスコンロの進化もいったんは一服するのではないかという気がしています。

ちなみに上記に挙げた機能は各メーカーの比較的多くのガスコンロに搭載されている機能の代表例を示したものになります。
メーカーによっては上記以外の機能を搭載したガスコンロを選択できる場合がありますので、ご希望のキッチンメーカーが決まったら、上記を参考にしつつガスコンロのカタログページをよく読んでくださいね。

もしできるなら、あらかじめガスコンロの説明書なども見ておきたいですかね。

ガスコンロが進化するたびにまた改めて記事を書くことになると思いますが、次はどんな機能が付与されるのかが楽しみですよね。